国内不動産

アメリカ不動産投資は貸主が有利 日本との手残りの違い

大西です。

日本の住宅の空室率が年々上昇しており首都圏でも15%を超えています。

しかし自分の物件はそんなに空いてない、空室率とか関係ないのではと感じる方もいるのではないでしょうか?

実際にそのとおりで、人気物件には申し込みが殺到しています。

一方、不人気物件には全く入居者が付きません。

収益物件にも二極化が起きています。

85件 満室可動

15件 テナントが付かない

大げさですが、それに近い状況です。

人気がないものとして、アパートであれば徒歩15分以上のものやバス便のものがあげられます。

地主がアパートの需要がない地域にも関わらず相続税対策になるからと営業され建ててしまった割高な物件は現在の首都圏に暮らす単身者のニーズに合いません。

一方、ニーズにあった物件を適正賃料で入居者を募っているものは常に人が入っている、また次の入居者が決まっているといった印象です。

では、需要のある地域で物件を購入すれば空室率はオーナー側に全く関係ないのかというとそうではありません。

空室率が高くなると借主有利か貸主有利が違ってきます。

入居者が好きに物件を選べるためです。

それによって貸主と不動産業者の立場も変わってきます。

他よりも良い物件をそこそこ安く募集できればすぐに入居者が見つかりますが、空室物件が常に大量にある現状では他も家賃を下げたり対応しており差別化が難しくなります。

入居者を付けるには賃貸の営業マンがどのくらいその物件を押してくれるかが重要になってきます。

他より優先して集客してもらうために広告料(AD)を支払う人もいるのです。業者の手数料は賃料1ヶ月分までなので正確に言うと業法違反です。

それでも空室が長引くくらいであれば、別途お金を支払ってでも入居者を付けてもらいたい。借主しいては借主を集客できる不動産会社有利な状況が続いていると言えるのです。

入居者が退去ときの損失を換算するとその手取りは随分下がってしまいます。

これが短期、仮に2年で退去されると収益は大きく下がります。

空室2ヶ月(清掃及び1ヶ月募集、3週間後入居)

手数料1ヶ月

広告費1ヶ月

4ヶ月/(4ヶ月+12ヶ月✕2年)=14.3%

契約更新する方もいるのでここまでではないでしょうが、このようなエリアでは満室可動の85〜90%程度として収支計算を行います。

冒頭で上げた空室率15%と比べてあまり変わらなくなります。

ADを必ず払わなければならない訳ではありません。賃料を安くしたり内装や設備、修繕にお金をかけ競争力のある物件を作り出せばインターネット検索で自然と選ばれて手間をかけずして入居者を見つけることもできるのです。

そういった優良物件を作り上げるにはとにかく物件を安く購入するしかありません。安く購入すれば返済も楽になり利回りも上がるので、多少賃料を下げて募集することもできます。またその分修繕に費用をかけたとしても十分な利回りを確保することができるのです。

日本の不動産投資市場は安い物件が出ているのを他の投資家より先に見つけるか、売り急ぐ人に指値を入れて安い物件を作り上げるか、リスクのある築古物件を安く購入してリフォームして価値を上げるかしか儲ける方法はないように思います。

通常の物件を相場で売買していては投資としては儲からない状況です。

これが貸主有利であると状況は変わります。

アメリカではほとんどの地域で空きがでるとほぼ1ヶ月以内に次の入居者が入ります。募集費用もどの業者でも賃料1ヶ月分以外に支払うことはありません。

2年で退去したとすると

空室1ヶ月

手数料1ヶ月

2ヶ月/(2ヶ月+12ヶ月✕2年)=7.7%

全米の空室率平均が2018年時点で約7%と近い数字になります。

賃貸物件が少ないため、やっと見つけた物件を2年で住み替えることは少なくもう少し損失は少ないと言えます。

日本とアメリカを比較してみて、空室率がそのまま購入した物件に反映されるわけではありませんが、空室期間やADの費用を含めて最終的な手残りを考えると満室時の賃料に空室率をかけ合わせたものに割と近くなると感じています。