大西です。
不動産を所有すると毎年また毎月経費がかかります。不動産の種類によってその経費の割合は年間賃料の10から30%とやや開きがあり、不動産の賃料の上限はほぼ決まっているため、この経費をどのように抑えるかが手残りのキャッシュを大きくするポイントとなります。
固定資産税
毎年1月1日の不動産の所有者に対して課税されます。
固定資産税=固定資産税評価額✕ 1.4%
都市計画税=固定資産税評価額✕ 0.3%
※都市計画税の税率は地域によって異なります。税率0.3%は東京23区であり、都下であればもう少し低い税率になります。
※その他居住用であれば 軽減税率があります。
築古の木造であればコンクリート造のマンションに比べて、固定資産税評価額が低いため税額負担も低くなります。 そのため築古の戸建てやアパートは手残りが多くなる傾向にあり初心者におすすめの投資法です。
所得税・住民税(法人税)
収入から経費を引いた所得に対して所得税・住民税(法人税)がかかります。 個人で購入すれば税率は給与所得と合算され累進課税で稼げば稼ぐほど税率も高くなります。一方法人税は収入の段階によって分けられます。
個人
法人
一般的には課税所得で約1200万円を超えてくると法人の方が税金面で有利になっていきます。しかし今後個人の所得税は増税の方針です。一方法人税は海外に企業が流出してしまうことを恐れ引き下げの方向にあります。 そのため今後物件を買い増していきたいのであれば行く行く所得が上がっていくため、初めの一件から法人で購入することをお勧めします。法人を設立する費用や毎年の確定申告を税理士に依頼する費用が増えますが、法人で購入すると経費にできるものが増えること、また親族を役員として役員報酬を支払うことで低い所得税率の親族に所得分散ができるため節税効果が高まります。
事業税
個人で不動産を購入した場合でも、不動産業が事業的規模になると事業税が加算されます。事業的規模とは一般的に所有する不動産が5棟または10室をこえるものです。5棟はなかなかの大家さんですが、10室はアパートを1、2件所有すると超える規模ですね。
計算方法
課税所得金額-事業主控除290万円など×税率5%=納税額
管理費・修繕積立金
管理費は共用部分の清掃、管理人の窓口業務など日常的な管理業務に関わる費用のことです。修繕積立金は建物の外側などの補修の費用を入居者全員で積み立てていくものです。
管理費・修繕積立金共に築年数が古くなればなるほど、負担額が大きくなります。
投資家という目線では、例えば区分所有であれば中庭に水が流れているようなものは管理費の負担が大きくなる傾向にあるため避けるべきです。アパート・マンションであれば、3階建て以内のものであることが望ましいです。エレベーターの保守点検費は非常に高くつきますので自分が住んでいるマンションには欲しいですが投資という観点からはエレベーター有りの物件は費用の負担が大きくなります。また外壁塗装の際にも高層になると足場を組まなければならないので修繕費が高くつく傾向にあります。
戸建てであれば管理費・修繕積立金はかかりませんので同じ賃料であれば手元に残る金額は多くなります。
PMフィー
PMはプロパティマネジメントの略で賃貸物件の管理のことです 。
業務内容を大まかに分けると以下のものがあります。
・入居者の募集
・賃料の集金
・入居者のクレーム処理・設備の修繕などの窓口と手配
・契約更・新入居者退去時立会い
PMフィーは不動産業者によってまちまちですが、概ね賃料の3〜5%くらいが相場です。 1棟のアパートやマンションなど規模が大きくなれば大きくなるほど一件に対しての管理の手間が楽になるため割引が効く傾向にあります。
自主管理をするかは事業の規模と物件の種類によります。戸建てであれば一度貸したしてしまえば、自分の家のように長年住まれることが多いので手間がかかりません。はじめの1,2件であれば自主管理でも問題ないと思います。しかし規模が大きくなってくるとそうもいきません。 不動産事業を行うという意味では管理会社の力を頼る事をお勧めします。
リフォーム費用
入居者が退去する度に、清掃やクロスの張り替えなどを行います。あまりに物件の賃料が安いとリフォーム費用の割合が賃料に対して大きくなりすぎます。
リフォーム費用は賃料が8万円の物件でも2万円の物件でも変わりありません。例えば賃料が月2万円のアパートで一年で退去されると賃料は24万円ですが、リフォーム費用に6万円かかったとすると3ヶ月分の賃料が出ていってしまいます。そのため一部屋の賃料は5万円以上が望ましいと思います。
また管理会社が見積もりを取るリフォーム費用には自分達の利益が乗っていることが多く割高です。自分たちにリフォームを頼まなければならないという管理会社を避け、自分で直接職人などにリフォームを発注することで費用を減らすことができます。しかし管理は苦労の割に収入が少ないため少しは利益をあげなければ上手く付き合っていけないという側面もあります。
テナント募集費用
新しいテナントを募集するために仲介業者に払う費用です。一般的に仲介手数料として賃料の1ヶ月分と広告料(通称AD) として賃料の1ヶ月〜3ヶ月分払うこともあります。 家余りの地域や、駅から遠いなど競争力のない物件であれば不動産会社にお願いをしてなんとか入居者をつけてもらうしかありません。賃貸の担当者に特別に自分の物件を勧めてもらうための費用として広告料という名目で追加費用を支払うわけですが、これが非常に高くつきます。
そのためできるだけ入居者には出て行ってもらわないための工夫をする必要があります。例えば更新料を0にするのはもちろん、更新してくれた入居者には好きな設備(ウォシュレットなど)を一つ追加してあげるなど工夫を行います。入居者が出て行かなければ、仲介手数料や広告費はかかることはありません。その分を入居者に特典としてあたえれば、退去防止だけでなく物件のバリューアップにもなり一石二鳥です。
人口が減少している現在、大家業は非常に不利な状態です。どれだけ入居者が出て行くのを避けるかが大家業成功の大きな分かれ目になると思われます。