税制

高所得者はなぜアメリカ不動産のキャピタルゲインを狙うのか?

大西です。

本業で稼いでいる人が利回りの良い不動産を購入し家賃収入を沢山受け取っても、総合課税で所得の40%などを税金として納める必要があるので効率よく手残りを増やすことはできません。

有効な対策としては資産管理会社を設立して法人で買い進めることにより所得を分散させ税率を下げます。

しかし、そのお金を個人が使いたいとなると資産管理会社から個人が役員報酬を受け取る必要があるため、結局は多くの税金を支払うこととなり効率的に使えるお金を増やすことはできません。

本業の所得が2,000万円台後半を超える方は分離課税を意識する必要があります。

分離課税とは?

所得税は、各種の所得金額を合計し総所得金額を求め、これについて税額を計算して確定申告によりその税金を納める総合課税が原則です。しかし、一定の所得については、他の所得金額と合計せず、分離して税額を計算し(この点が総合課税制度と異なります。)、確定申告によりその税額を納めることとなります(この点が源泉分離課税制度と異なります。)。これが申告分離課税制度です。

参照:国税庁ホームページ

つまり所得とは分けて利益に対して一律何%という割合で課税されるもので、資産形成に使えるものとしては会社の売却(M&A)、株等の配当所得、不動産のキャピタルゲインなどが挙げられます。

1億、2億と現金を持っているような方はこの3つを通過してきた方が多く見受けられます。

逆にいうと、所得として受け取っていては税率が高すぎてそこまでのお金が残らないと言えます。

事業売却などは大きな話になりますので、ここでは分離課税の一つである不動産のキャピタルゲインに対してご説明します。

不動産のキャピタルゲイン

不動産の値上がり益に対しての課税は長期譲渡(5年以上保有)の場合約20%です。

インカムゲイン(家賃収入)に対しては総合課税となり所得の半分近くの税金を支払う必要があるのに対し、キャピタルゲインは約20%と比較的低く設定されています。

20%というと、年収500万円の手取りが400万円くらいなので同じくらいの税率です。

収入が高い方は、利回りが良い物件より今後値上がるであろう物件を購入し、キャピタルゲインを狙った方が良いのです。

キャピタルゲインが狙えるエリアは?

ここで問題となるのが、キャピタルゲインを狙えるエリアはどこかということです。

物件価格が上がるということは今以上に需要が高まるということで、人口が増える、再開発され人が集まるなどの要因が必要です。

例えば、東京の虎ノ門近辺などは今後再開発され価格上昇が見込まれます。

しかし、このような物件はかなりの高額となりますし、人口減少に悩む日本国内では極僅かの一等地にしか当てはまりません。

ほとんどの地域は緩やかに価格下落を迎え、一部の過疎地域では買手が付かない負動産化が進むことが予測されます。

アメリカでは大半の地域でキャピタルゲインを狙える

キャピタルゲインを狙うのであればアメリカ不動産をおすすめしています。

当然、景気後退時には値下がりますが、長い目でみると人口が増え、物価も上がるアメリカでは物件価格も当然に上がっていきます。

アメリカ不動産の価格が上がる理由と日本の中古住宅価格が下がる仕組み

キャピタルゲインの計算方法

個人がアメリカ不動産を売却した場合、アメリカと日本両方で確定申告をする必要があります。

キャピタルゲイン(譲渡所得)の計算方法はアメリカも日本も同じです。

譲渡価額 -(取得費+譲渡費用)- 特別控除額(一定の場合)= 課税譲渡所得金額

取得費は減価償却をマイナスするため、年々少なくなっていきます。

長期保有をしていると減価償却も進み(取得費が少なくなる)、譲渡価格も年々上がるため譲渡税が多くなります。

アメリカ国内であれば中古でも木造は27.5年で償却しますが、日本では22年または短期償却も選択できるため、取得費に違いが生まれます。

そのためキャピタルゲインもそれに対する税率、税金も異なりますが、二重課税とならないよう外国税額控除が定められておりアメリカで支払った分は日本で控除される仕組みとなっています。

※詳しくは担当税理士にご相談下さい。

法人で購入する場合

外国税額控除などを行っているとややこしいので、キャピタルゲイン狙いの方はシンプルにアメリカ法人で物件を取得するという方法もあります。

アメリカ法人で買い替えをすると、1031エクスチェンジという物件売却時のキャピタルゲイン税を何度も繰り越せる制度を利用することもできます。

1031エクスチェンジを利用した資産拡大方法

まとめ

高所得者は所得を増やしても総合課税で税率も上がり、手残りはそれほど増えないためまとまったお金を作ることが難しいです。

アメリカ不動産のような、キャピタルゲインが狙える地域に投資を行えば、売却時の譲渡税は約20%と分離課税を利用することができるので手残りを増やしやすくなります。

現地法人を作れば、値上がった物件を売却して次の物件を購入する際に買い替え特例(1031エクスチェンジ)を使うことで更なる資産拡大・手残り増加が見込めます。