大西です。
日本の法人でアメリカ不動産を所有する際の手続きやタックスナンバー取得、確定申告など注意点についてまとめました。
アメリカ不動産購入前
日本在住の個人がアメリカ不動産を直接購入することができるのと同様に、日本の法人も直接アメリカ不動産を購入することができます。
そのため、原則的に購入時には特段必要書類はありませんが、地域やエスクローによって別途書類を求められるケースもあります。
個人の場合はパスポートがあるため身分を証明することが容易ですが、日本法人の場合は身分証明ができる英文書がないためです。
購入時に別途書類が必要かどうかはエスクローの判断であり、エリアによっても異なるため、事前にエスクローに必要書類を確認する必要があります。
書類が求められる場合は一般的に下記の書類です。
・会社謄本の英訳
・取締役会の議事録の英訳
・英訳のアポスティーユ
会社謄本を英訳するのは特別な資格を持っていなければできないものではなく、どなたでも構いません。
契約書の英訳の場合は専門用語も多いですが、謄本ですと高度な英語力を必要としないため不動産会社が英訳するケースもあります。
会社謄本の英訳には〇〇がこの原本を英訳しましたという一文を付け加えます。
訳した方がその英訳を大使館もしくは公証役場に持参し、アポスティーユ(公文書に対する外務省の証明書)を取得します。
アポスティーユの取得は原則大使館に行く必要がありますが、東京や大阪では公証役場で取得することが可能です。
契約や決済時サインする方が代表取締役であれば謄本の代表取締役と一致するので問題ないケースが多いです。
サインする方が代表取締役以外である場合は、サインする人の権限を示すことが求められることもあり、その際は取締役会の議事録の英訳を行うなどして対応します。
これらの書類が求められない場合でも、購入後の外国法人登録で同様の書類が必要となります。
その為、購入時に身分を証明する書類が求められない場合にも、事前準備をしておくことが望ましいです。
アメリカ不動産購入後
アメリカ不動産購入後に、外国法人登録(支店登記)が必要となります。
外国法人登録(支店登記)に必要な書類
・会社謄本の英訳
・英訳のアポスティーユ
購入前には上記書類を求めれれないことも多いですが、遅かれ早かれ購入後支店登記をする際に、会社謄本の英訳やそのアポスティーユが必要となります。
支店の住所
登記の際には住所が必要です。
米国にお住まいでない方は、CPA(米国公認会計士)やエージェント、不動産会社などに住所を借りることが一般的です。
CPA(米国公認会計士)の場合、$100/月程度で事務所の住所貸しをしていることが多いです。(確定申告料に含まれているケースもあります)
エージェントや不動産会社の場合、無料で貸していることもあります。
無料であれば費用は浮きますが、当然そこからの物件購入が条件となるかと思います。
他で良い物件を他で紹介されたからと言って、その不動産会社を通さずに別のところから買う訳にもいきませんので注意が必要です。
どちらも一長一短ですが、物件を購入してからでは検討している時間があまりありませんので、事前に事前に方針を決めておきましょう。
法人の銀行口座
一般的には支店登記を行うことで法人名で銀行口座を作ることが可能になりますが、登録をしても代理では法人の口座が作れないケースも多くなってきました。
個人のアメリカ銀行口座で代用するなどの検討も必要です。
注意点
物件が複数の州に渡る場合、各州で法人登録が必要となるため支店の数だけ費用がかかります。
納税者番号の取得
物件を購入しましたら、すぐに納税者番号の取得が必要です。
法人登録は購入から60日以内でなければならず、超えた場合にはペナルティーが定められています。
支店登記と納税者番号の取得は合わせてCPA(米国公認会計士)に委託することができます。費用は$700~1000程度(外国法人登録+納税者番号取得)です。
外国法人登録は毎年必要で$100~$200の費用が毎年かかります
確定申告
日本で確定申告後に、アメリカの確定申告を行います。
日本の確定申告と連動している部分もあり、日本法人の借入理由など日本側の確定申告書の内容についていろいろ聞かれるので煩わしい部分もあります。
確定申告の費用は$1500~2000程度かかります。
(外国法人登録費用も毎年別途かかります)
余談
テキサスは連邦税はありますが、州税がありません。
州に報告する必要がないので、テキサス州の確定申告費用は若干安くなる傾向になります。
費用まとめ
外国法人登録と維持には下記費用がかかります。
初回登録:700ドル~
外国法人登録:100~200ドル/年
事務所代:無料~100ドル/月
確定申告1500ドル~/年
準備するものまとめ
・会社謄本の英訳
・取締役会の議事録の英訳(不要なケースが多い)
・英訳のアポスティーユ
・外国法人登録の住所
法人がアメリカ不動産を購入する際には、個人より手間と費用がかかります。
以上を踏まえてどの形態で所有すべきか検討し、準備をして頂くとスムーズに事が運ぶかと思います。
個人か法人かなど、所有形態で迷われる方はアメリカ不動産 法人の所有形態とリスクまとめを参考にしてみて下さい。