知っておくと有利なこと

Appraisal(鑑定評価)が低いと価格交渉できる?

大西です。

鑑定評価が売買価格より低ければ売買契約締結後であっても価格交渉、もしくは契約を解除できるというお話をします。知っていると物件を高値掴みする可能性が低くなりますので参考にして下さい。

売買契約条件

契約の前には下記のようないくつかの項目について交渉を行います。

売買価格

手付金の額

決済日

諸費用の負担割合(州による)

◯融資特約

◯インスペクション(建物調査)期間

◯アプレイザル(鑑定)期間

◯は解約の条件及び期間です。

日本でもいつまでにどの銀行でいくらの融資が受けられなければ契約を白紙にできるという融資特約をつけることが一般的です。

通常は金融機関の事前審査を完了したうえでの契約となるので滅多に白紙解約になることはありません。

アメリカでは融資特約の他に、インスペクション(建物調査)とアプレイザル(鑑定)の結果によっても契約を解除することが可能です。

インスペクション(建物調査)では木が腐っていないか、シロアリはいないか、害虫の侵入経路がないか、設備は動くのかなど調査を行います。

その結果を見て不備があれば、買主は売主に修繕要望を出すことができ、

売主はそれらを直すか

修繕しないかわりに価格を値引くか(契約後なのに変更できる)

交渉に応じない

などの選択をとることができます。

そのインスペクション期間(いつまでに調査して修繕要望を出すか)とその後の売主の返答期間などが契約で定めます。

万が一お互い合意できなければ期間内であれば解約できるものとなっています。

Appraisal(鑑定評価)

Appraisalもインスペクション同様に、契約条件がまとまったあとに期限内に買主の費用負担で行います。

Appraisalを取得するのは現地の方が融資を受けるために銀行に提出目的であることが多いです。

アメリカでは金融期間が鑑定評価も参考にするため融資を受ける方は鑑定評価を求められることがあります。

鑑定評価が低いと借り入れできる割合が下がることもあります。

例えば物件価格20万ドル、鑑定評価18万ドルでは金融期間は18万ドルを参考にします。

8割融資で18×0.8=14.4万ドル、実際の売買価格の約7割しか融資を受けられない可能性もあります。

そのため鑑定評価が売買価格よりも低ければ、契約後10日以内であれば契約を解除、または鑑定評価額まで売買価格を下げてもらうよう交渉できる条件を付けることができます。

注意点

鑑定評価が低かったことを理由にその価格まで交渉する権利はありますが、売主がその交渉に応じるとは限りません。

売主もエージェントと相談して近隣相場や自身の希望を元に売却価格を決めています。その後交渉の末売買契約を交わしているので鑑定評価が出たからといって元の価格で売りたいというのが心情です。

また鑑定評価が売買価格より高かった場合は、安心して購入することができますが無駄に費用がかかったという見方もできます。

Appraisalは必要か?

Appraisalを取得する方は少ないです。理由は

◯現地でローンを受けないこと

◯鑑定評価が高くでることもあること

◯鑑定評価が低く出たとして、必ずしも金額交渉が通るとは限らないこと

◯費用負担があること(1軒家で500〜1000ドルほど)

◯契約交渉の末、納得した価格で売買していること

が挙げられます。

売買契約成立後に支払うEarnest Money(手付金)は鑑定評価額を理由に解約する場合には返ってきますが、インスペクション費用(500〜1000ドル)及び鑑定評価費用500〜1000ドル)は返ってきません。

エージェントと相談し、良い物件を選び売買契約前に交渉し納得する価格で契約を締結しているので、第三者の評価(鑑定評価)が多少低かろうが気にしない、むしろ現地で融資を受けないので鑑定評価を取得しないというのが一般的です。

物件価格にもよる

1000ドル、2000ドルの物件を購入するのにインスペクション、鑑定評価をとると500〜1000ドルくらいかかってしまうので経費率が高くなります。

そのためこのくらいの価格帯であれば鑑定評価を取得する必要はないと思いますが、物件価格が上がればこの限りではありません。

例えば50万ドル(約5000万円)の物件で鑑定評価が1割安の45万ドル(約4500万円)となると最大で500万円ほどの価格交渉券を7万円くらいの鑑定評価費用で得ることができたことになります。

鑑定評価は有資格者の正式な書類なため説得力があり自信をもって交渉することができます。

まとめ

Appraisal(鑑定評価)が売買価格よりも低ければ、売買契約後でも鑑定評価額まで金額交渉を行うことができる取り決めを契約書に記載することができます。

Appraisal(鑑定評価)は説得力のある書類ですが、必ずしも売主は鑑定評価まで売買価格を下げなければならない訳ではありません。話がまとまらなければ解約となります。

解約してもAppraisal(鑑定評価)費用とインスペクション(建物調査)費用は返ってきませんので注意が必要です。

一般的には事前にしっかり価格調査を行い、鑑定評価を取らずに契約・決済をすることをおすすめします。

とは言え、費用10万円以内で割高物件が見分けられたり、交渉の材料にもなるので、物件価格が高めのエリアではAppraisal(鑑定評価)を取得しても良いでしょう。