大西です。
オーナー様で入居者の家賃滞納で頭を悩まされている方は多いのではないでしょうか。
日本では数年に渡り家賃を支払っていないとしても、居住者の権利が強く、追い出すことができません。
日本の借地借家法は強すぎです。
私のお客様でも以前ご相談がありました。
築70年超えの長屋をご所有されており、地震による倒壊の恐れ、また事故があると大家側が責任を取らなくてはなりませんので取り壊しを考えておられました。
全部で10数部屋あったと思いますが、2部屋家賃も払わない入居者が居座ってしまい取り壊すことができません。
家賃は入ってきませんが、固定資産税は払わなくてはなりませんし、その上未収の家賃も収入扱いになり課税対象です。家賃回収の権利を放棄し賃貸人のサインをもらわなくては回収する権利があるため受けっとていなくても収入扱いになります。
広い土地なので解体ができると立派なアパートを建築することができ賃料も取ることができるのため相談を受けました。
立ち退きを居住者にお願いすることは賃借人と弁護士しかできず、第三者が賃貸人にお願いすると非弁行為となるのですが、現状調査ということでコミュニケーションをとることを依頼されました。
お2人とも旦那様、奥様に先立たれ一人暮らしており、返済能力が全くありません。可愛そうだとは思いながらもだからといって家賃未納では困ります。正直複雑でした。
月に1回顔を出しながら、一切立ち退きといった話せずひたすら話を聞き続けました。
一年くらいたったある日、どこか悪いという感情があったのか、できればここで骨を埋めたいが、近くであれば引っ越しても構わないという話をされました。
こちらで次の住替え先を探し、これまでの賃料を帳消しにして、引っ越し費用と住替えの諸経費、さらに数ヶ月分のお金を渡すという条件を付けることで合意に至りました。
合計400万円以上(放棄家賃込み)お支払いになられたと思います。
これは上手く話が進んだ例ですが、ずっと居座る方も多くいます。
入居者が滞納していようが追い出すことができず、交渉をすると数百万円も費やさなければ合意に至らない、弁護士を雇って手続きをするには相当の労力を要するというのが日本の現状です。
そんなことを経験してきましたので、アメリカの滞納の処置を知ったときには驚きました。
州にもよりますが、基本的に家主が強く、カリフォルニア州やテキサス州では即時に法的手続きをとり強制退去の手続きができます。
家賃が遅延した翌日からNOTICE OF VACATEという手紙を書留もしくは直接届けて、
その後、
殆どの方がNOTICE OF VACATEの手紙で反応しますが、
この一通りの手続きは早ければ一か月ほど、
アメリカは貧富の差がはげしく、ホームレスも多いため治安は日本と比べると当然悪いです。日本に帰ってくると浮浪者が集まっていたりもせず、とてもよい国に感じられますが、恐らく他国では強制退去でホームレスになってしまうような方の居住権を守っている(誰かが負担をしている)からだと感じます。
どちらが良いのか考えさせられます。
滞納のリスクがない、あっても法的にすぐに対処できるというのは裁判が日常にあるアメリカならではのメリット(オーナーから見た場合)かと思います。
その反面、あまりに家賃が安い物件、エリアの不動産を購入すると起きるトラブルの桁が日本とは違います。
エアコンの室外機を取っていかれたり、空き家の窓ガラスを割られ誰かが住み着いたり、設備を盗まれたり。
人が住んでいるとあまり問題は起きないのですが、治安が悪いエリアで空き家になって長いと良いことがありません。
滞納リスクはないのですが、事件のリスクがありますので、アメリカでもあまりに家賃が安いエリアは避けて物件を探された方がよいと思います。
法的に強制退去はできますが、労力がかかりますので事前に滞納がなさそうな方を選ぶようにしましょう。