大西です。
日本の不動産と比較するとアメリカ不動産の固定資産税は割高で、投資の場合は特に手取りを減らす大きな経費となります。
アメリカ不動産の固定資産税がどのように決まるのか、その仕組みについて解説します。
アメリカ不動産の固定資産税率は州ごとに税率が違う
アメリカ不動産の固定資産税の税率は各州によって異なります。
例えばカリフォルニア州では0.81%ですが、テキサス州では1.9%と2倍以上差があります。
固定資産税率は物件タイプによっても違う
こちらの税率は、オーナーが居住用で住んだ場合の税率で、投資用の場合はもう少し高い税率が適用されます。
その際に、コンドミニアムや戸建てなど物件タイプによって税率に違いが出てくるため確認が必要です。
固定資産税率は日本と変わらない?
日本の
固定資産税は評価額の1.4%、
都市計画税は約0.3%(最高)
となっており、合計約1.7%と日本もアメリカもそこまで変わらないのではないかと感じられますが、実際は大きく異なります。
日本の物件は評価額が低い
日本では物件価格ではなく、評価額に約1.7%の税率をかけて固定資産税を算出します。
この評価額ですが、実勢価格の7割もしくはそれ以下になっているものが一般的です。
築古木造の建物の評価額は限りなく小さい金額になっているため、中古物件ではとくに実勢価格と評価額に差が生じます。
税率は約1.7%とアメリカとそれほど変わりありませんが、元となる評価額が小さくなるため固定資産税の負担が日本では小さくなります。
アメリカの評価額は?
一方アメリカは、築年数が経過しても価値が下がらないのと同じように、評価額が下がっていくこともありません。
アメリカの固定資産税は鑑定評価額≒時価を元にして算出されています。
そのため日本では考えにくいですが、物件価格の上昇と共に固定資産税も上がっていくのが一般的です。
固定資産税率が高いと収支を圧迫する
先ほど、カリフォルニア州では0.81%ですが、テキサス州では1.9%と述べました。
この約1%の税率差が収支に大きく影響します。
計算の元となる金額がほぼ時価評価と高いため、税率が1%高いということはそのままNET利回り(手取り)が1%下がるということです。
カリフォルニア州の物件価格は高いので表面利回りは低くなりがちですが、手取り計算をすると意外と経費(固定資産税)が低くなります。
そのため、テキサス州の物件の表面利回りがカリフォルニアより1%高くとも、固定資産税の負担が1%大きくNet利回りではどちらもあまり変わらないということもあり得るのです。
下記は固定資産税額の平均値です。
カリフォルニア州の平均的な物件の固定資産税額は1,451ドルですが、物件価格がカリフォルニア州より安いテキサス州を見ると1,731ドルと税負担が大きいのが分かります。
固定資産税が高いのは悪い訳ではない
固定資産税は学校の予算や地元自治体、公園の維持費などに使用されています。
そのため固定資産税が高い地域とは、学区が良い地域であることも少なくありません。
例えば、テキサス州のプレイノ近辺では税率2.4%ほどになる地域もありますが、学区は非常に良く整った街並みが広がっています。
収支は圧迫しますが、テナントが見つかりやすかったり人気エリアでキャピタルゲインが狙える可能性が高いといった側面もあります。
購入した物件の固定資産税は上がる可能性があるので要注意
売主が20年住んでいた物件などでは、評価が低いまま設定されているものもあり、購入を検討する場合は注意が必要です。
アメリカは物件価格が上昇するため、例えば20年前に20万ドルであった物件が今は40万ドルで売買されたりします。
この20年間、売買が行われていないので税務署は正確な時価を把握していないことがあります。
地域によっては1年間に増税してよい固定資産税のパーセンテージの上限が設定されていることもあるので、売買価格は2倍になっていながら、固定資産税は1.4倍にしかなっていないこともあります。
そういった物件を売買した際に、その時点の時価が明確になり購入後は取引額に基づいて評価額が引き上げられる可能性が高いのです。
アメリカの税務署は信じるな
納税通知書はしっかり確認するようにしましょう。
アメリカではいい加減な仕事をする人も多いので、間違っていることもあります。
売買価格に税率を掛けてみたり、近隣と比べてみたりすることをお勧めします。
日本では考えられませんが割高であることを説明して固定資産税を下げてもらったという事例もあります。
税金を納める場合は請求書が来るのに、払いすぎている場合は申し立てをしなければ返金されません。
税金は無知な人から上手く搾取する仕組みになっていますので注意して下さい。
まとめ
アメリカはほぼ物件価格に対して税率をかけるので、日本の固定資産税よりも高くなることが一般的で、不動産投資では経費の多くを占めます。
税率は州によって異なるので、インカムゲイン狙いかキャピタルゲイン狙いかで投資に適した州も異なりますので参考にして下さい。