大西です。
アメリカでは不動産取引を行うと、ほとんど「片手取引」です。
「片手取引」とは売主と買主双方に別々の不動産会社がついて行われる不動産取引で、「両手取引」は売主と買主の間に同じ不動産会社がついて行われる不動産取引を指します。
日本では「両手取引」が多く行われています。
取引にかかる手間は「片手」でも「両手」でもほぼ同じなので、1度の取引で仲介手数料を売りと買い、双方から得られる「両手取引」を日本の不動産業者は好みます。
そのため、買主募集中の物件にも関わらず、見込み客がいるので物件を内覧したいと問い合わせてきた別の業者に対し、売主業者が「申込が入っている」などと説明をし物件を他社に紹介しないということが起きており不動産業界の大きな問題でした。
今は、不動産業者が見られるサイトに申込が入った場合にはその旨を表示しなければならず、スマホの普及で多く人が物件を見られるようになったため、物件を隠しもっていられないようになってきており少し改善されてきたように思いますが、未だその習慣は残っています。
他社に物件を紹介しないというのは多きな問題ですが、もう1つ「両手取引」には大きな問題があります。
それはできるだけ安く買いたい買主と、できるだけ高く売りたい売主は、利益相反の関係にあるということです。
例えば、買主の強気な金額交渉でも、契約をまとめたい業者が売主に「次だといつになるかわからないのでちょっと安くても今決めてしまった方が良いですよ」と促すことが売主の損失になるわけです。
このように「両手取引」では、売主か買主に損害を与える可能性があるため、訴訟大国アメリカではリスクの高い商行為と見なされます。それがアメリカでは「片手取引」が主流である理由です。
アメリカでも「両手取引」は存在しますが、その場合は、売主と買主の双方に「両手取引」であることを書面でもって明示し、それぞれサインをもらう必要があります。
対象物件の過去の取引価格や近隣の価格も全てインターネット上に公開されているように、アメリカの不動産は透明性が高いのもさることながら、取引においても双方に損失がないようにという公平性が根付いています。
物件を購入しようと考えている方にとって、購入者側のエージェントは自分の計画にあった物件を精査してくれたり、管理会社を紹介してくれたりする投資のパートナーであり、良いエージェント探しが良い物件を手に入れるための秘訣とも言えます。