国内不動産

繰り上げ返済をすべきでない3つの理由

大西です。

不動産投資を進めていく上で判断をしなければならないことの1つに繰り上げ返済をするべきか?ということがあります。

家賃に手を付けずに取っておけば通帳の残高は多くなっていきますが、それらがなんの収益も生まない貯金になってしまいます。

繰り上げ返済をするか、そのまま残して置くか、それとも別の何かに投資するのか判断をしなくてはなりません。

どうするべきかというご相談をよく受けますが私は繰り上げ返済はするべきでないとお答えすることが多いです。

その理由についてご説明します。

融資金利と運用利回りを比較

1〜3%くらいの金利で融資を受けている方が多いのではないかと思います。スルガ銀行でも4.5%といったところ。それと比較して再投資先が手残りでそれ以上の運用ができるのであれば次の投資資金に回した方がよいと思います。

表面利回り10%くらいの物件を所有しているとしてNetで7%くらいでしょうか。仮に3%で借りたお金を7%の利回りで運用できるのであれば、手持ち資金を元手に物件を購入した方がよいという計算になります。

金利が低ければ低いほど、また利回りの高い物件に投資できるほど、繰り上げ返済は有効でないことになります。

今は非常に低金利で融資を受けられる時代です。そのため投資用ではないのですが、住宅ローンを金利1%以下で借りられるこのご時世では住宅ローンの繰り上げ返済の必要性は薄いと思います。

逆に高い利息で融資を受けている方は検討の余地はあります。例えばリーマンショックの最中スルガ銀行で利息5%で融資を受けたような方です。金融緩和によってサラリーマンオーナーが増え、物件価格が上がってきた今では、手取りで5%を稼げる不動産は少なくなっています。繰り上げ返済をすることは確実な利回り5%の商品を購入したのと同じことですので、投資対象がない場合には1つの選択肢でもあります。

これから物件を買い進めていくには

残債が少ないより手持ち資金が多い方が次の融資が受けやすいのが現実です。資産内容をみれば手持ち資金があるのと、手持ち資金がない代わりに残債が少ないのは同じことですし、キャッシュフローは残債が少ないほうが良くなります。しかし次の物件を購入する際、基本的には物件の積算価格までしか融資がでません。融資が引き締まっている現状物件価格の2〜3割は頭金を入れることが必須になっていますのでこれから物件を買い進めていくにはキャッシュがあることが重要になります。

今後、2012年以降の不動産ブームに乗って物件を購入した人の中で、高値づかみをしているのでだんだんキャッシュフローが回らなくなり維持できなくなったような人が出てくると思います。

フルローンがでない現状、頭金3割でも大金ですので物件を購入できる人は少なくなります。そのため物件価格も下げなければ売却できませんので、徐々に投資用不動産価格も下がってくることが見込まれます。そういった物件を狙って買い進めていくことを前提とするのであればキャッシュを温存しておいた方が良いと言えます。

同じ銀行と付き合って行くには

銀行はお金を貸した利息で生計を立てています。繰り上げ返済をするということは銀行は当初見込んでいた利益を上げることはできません。

契約的には何も問題はなく、繰り上げ返済にお金がかからない契約であれば手軽に行える作業ではあるのですが、次も借りて貰いたいと思ってもらえるかはあなたがよっぽどの大口のお客様でなければわかりません。

借りる際はなんとか良い条件で少しでも手持ち資金を少なくなるよう融資をしてもらっていませんか?

銀行の協力がなくては大きな不動産事業は行なえません。今後の協力体制を築いていくためには当初の契約のまま返済を続けるというのが信頼になり、また次の融資の際に相談に乗ってもらえることとなるでしょう。

まとめ

借入れた利息以上に利回りがでる商品に投資をすることができるのであれば返済をすべきでないと言えます。低金利の現在多くの方が繰り上げ返済を行わない方が優位かと思われます。

これからは頭金3割を入れなければ物件を購入できない融資市況になっています。手持金を温存しておくことでフルローンが付かないが安い物件など購入の選択肢が増えます。

また繰り上げ返済は銀行の利益を減らすことになります。これからも良好な関係を築き良い条件で融資を受けたいという方は、当初の計画のまま返済を続けていくのが良い付き合い方だと思います。