大西です。
クロージング(closing)とは、日本で言う決済のことです。
売主は物件の明け渡しを、買主は売買代金の支払いをする日(closing date)に向けて、各種関係機関を含め手続きを進めていきます。
その決済時に精算される金額がクロージングコストと一般的に言われますが、アメリカ不動産の購入にかかる諸費用総額とは少し異なります。
ここでは、クロージング時に精算される金額(クロージングコスト)とアメリカ不動産を購入するのに、本体価格と別にいくら諸経費がかかるのかということについて解説します。
クロージングコストはいくらかかる?
決済日にエスクロー内で清算する売買代金とは別にかかる費用を一般的にはクロージングコストと呼んでいます。
クロージングに伴う費用は、概ね売買代金の1.5%前後となる事例が多いです。
これは取引慣習の違いや固定資産税などの清算金によっても異なりますので州により違いがあります。
また10万ドル以下などの少額物件の諸費用を%で表せば割高になりますが、1million以上の一棟コンドミニアムでは総額は大きくなりますが割合でいうと低くなります。
そのため一概には言えませんが、日本の方が現金または日本側で融資を引くなどして、アメリカの一般的な20~50万ドルくらいのコンドミニアムまたは戸建てを購入したときのクロージングコストはこのくらいになるケースが多いです。
クロージングコストの内訳
必ずかかる費用
必ずかかる下記費用をまとめてsettlement charges :決済費用と呼ぶことがあります。
Closing Fee to Escrow:エスクローカンパニーの費用
Title Insurance Fee:タイトル保険料
Recording Fee:登記費用
日割精算する費用
Property taxes:固定資産税の清算金
HOA balance:HOAの清算金
別途かかることもある費用
Loan Origination Fee:融資手数料
アメリカの金融機関で融資を受ける場合は、closing時に融資手数料を精算しますが、日本の金融機関で融資を受ける場合は金融機関と別途やりとりとなります。
Appraisal Fee:鑑定費用
アメリカの不動産を担保に融資を受ける場合は必須ですが、そうでない場合は任意です。
細々とかかる費用はありますが、大きく分けるとこのようになります。
売主が負担してくれる費用
タイトル保険料を除いて、交渉次第では売主側が何千ドルか負担してくれるケースもあります。※州の取引慣習にもよります。
家財保険も引渡し後1年分を売主負担で支払ってもらうことも可能です。
引渡し後の設備不良対策 Home warrantyは加入すべき
売買代金の交渉とも絡むことなのですが、諸費用もできるだけ負担してもらえるよう取り決め、売買契約書にその旨を記載をします。
公証費用
決済日が決まり、各種機関の手続きが完了するとクロージングステートメントと呼ばれる決済明細書が発行されます。
そこに、残代金(売買代金-頭金)とクロージングコストの内訳が記載されています。
それを見て、送金手続きとクロージングステートメントを含めた決済書類一式にサインを行います。
サインを行う際には米国大使館で公証を受けるのが原則です。
これは州の決まりにもよりますが、現地不動産に抵当をつけ融資を受ける場合は必須となります。
費用は5500円程度です。
クロージングコストとは別にかかる諸費用
決済時に精算する費用の他にも下記のようなものがあります。
頭金・手付金
売買代金の一部ですが、売買契約締結直後に必要となります。
金額は500ドル~売買価格の10%くらいまで州や地域によって異なります。
インスペクション費用
売買契約締結後からクロージングまでに、インスペクション(建物診断)として構造上の欠陥や害虫の有無、電気経路や設備不良の点検などを行ってもらいます。
そのインスペクションの結果によっては購入を取りやめることができますが、500~1000ドルくらいのインスペクション費用は決済と関係なく費用負担が発生します。
そのため、クロージング時に精算するのではなく買主負担で前払いするのが一般的です。
火災保険料
火災保険には決済日当日から加入をした方がよいです。
そのため、クロージングとは別で事前に手配、支払いを済ませます。
火災保険料は1年分をまとめて支払うことが一般的で費用は構造・広さ・築年数によってもまちまちですが、通常の木造戸建てで年間2000ドル前後になるかと思います。
コンドミニアムであればHOAの中にコンドミニアム全体(外側)の保険が既に含まれており、個別の火災保険は室内だけで済むため1000ドル以下など戸建てに比べ安くなります。
州によっても異なりますので、事前に見積もりをとられることをおすすめします。
清掃・カーペットクリーニング・修繕費用
購入後、清掃、カーペットクリーニングは入れるのが一般的です。
また必要であれば修繕費用をかけて直し入居者募集をすることもあります。
清掃、カーペットクリーニングだけであれば広さによりますが、500ドルもはかかりません。
諸費用の準備
日本の業者売主物件の場合は売買代金に含まれているので必要ありませんが、現地の方と売買取引をする場合はこれらの支払いがあります。
支払い先がそれぞれ異なるので、アメリカの口座をお持ちの場合はそれぞれ支払うか、現地エージェントがまとめてくれるかなど調整が必要です。
弊社の場合はクロージング時に支払う費用以外の上記諸費用は、決済が完了するまで基本は立替え払いをしています。
瞬間的に必要だが諸費用でない
頭金は売買代金の一部なので、諸費用の見積もりに入っていないと思います。
また火災保険はランニングコストなので収支予測シミュレーションに算入されていると思います。
清掃・カーペットクリーニング・修繕も定期的にかかります。
ここでは購入を考えるにあたり、いくら現金を持っていなければならないか計算するために諸費用としてご説明しています。
融資を受ける場合にかかる費用
クロージングコストの内訳で少しご説明しましたが、現地の方が現地融資を受ける場合はクロージング時にその費用を清算しますが、日本側の金融機関で融資を受ける場合は各種金融機関と直接やりとりを行います。
融資手数料
金融機関によりますが融資額の1%くらいを融資手数料とするところが多いです。
事務手数料
数千円の事務手数料がかかる金融機関もあります。
印紙代
金銭消費貸借契約書に添付する印紙代がかかります。
現地物件を担保にする場合
現地の物件を担保に取り融資を受ける場合には別途費用がかかります。
鑑定費用
現地の物件に抵当を付けるので、対象物件がいくらの価値があるかを調査するため鑑定を依頼します。
公証費用
現地物件に抵当を付けるため、英文文書に公証人の面前で署名する必要があります。
5,000~10,000万円程度です。
送金手数料
日本の口座から送金をかける場合、海外送金手数料が5,000~10,000万円ほどかかります。
また為替手数料がかかるケースもあるのでご注意下さい。
クロージング直後にかかる費用
清掃や修繕、またHOAや固定資産税などのランニングコストがかかります。
その他、空室期間中の光熱費や必要であれば鍵の交換といった大きくはないですが費用が発生します。
まとめ
売買にかかる費用は、特に日本人の場合クロージング時に清算するものだけではありません。物件取得まで、またその直後も多くのことを同時進行しなければなりませんので注意が必要です。
詳しくは、アメリカ不動産購入の流れをご参照下さい。